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県知事選挙敗北後の新たな「普天間基地閉鎖・撤去」と
「辺野古新基地建設阻止」の新たな闘いへ!
日米両政府の軍事基地押しつけに敗北したのでない



安次富 浩(沖縄・ヘリ基地建設反対協議会代表委員)

去る11月28日の沖縄県知事選挙では、伊波洋一前宜野湾市長を擁立して挑み敗れたが、「普天間基地閉鎖・撤去」と「辺野古新基地建設阻止」の闘いが敗北したのではない。
仲井眞陣営は選挙対策本部長に翁長那覇市長の就任を要請したが、翁長市長の受諾条件が選挙公約に普天間基地の「県外移設」を表明することであった。仲井眞知事は条件をのみ、県内移設「やむなし」を取り下げた。その結果、有権者は基地問題での対立点がないと判断し、経済問題に争点が絞られ、棄権者の増加へと繋がった。つまり、伊波陣営が仲井眞陣営の政策変更の動きを適切に分析し、仲井眞陣営の「県内移設反対」の政策との明確な違いを県民にアピールすることが出来なかった大きな敗因である。具体的な違い例として、「辺野古沿岸案に関する防衛省からの埋め立て申請を拒否する」、「米国政府に県議会、関係市長等を交えた要請団を構成し直訴する」など。仲井眞知事が辺野古新基地建設について「沖合い案」から「沿岸案」に変転した事例を挙げ、いずれ豹変するとのアピールも弱かった。
今回の県知事選挙のため「沖縄の未来を拓く市民ネット」が結成された。那覇のみならず、うるま市と名護市にも結成され、市民の視点で選挙運動が展開されたことは特筆されるであろう。地域によっては既存組織以上のユニークな選挙運動が展開された。
選挙敗北からどのような方向性で闘いを構築すればよいのであろうか。仲井眞陣営が普天間基地の「県外移設」を主張し始めたことを逆手に取ることだ。仲井眞知事は「普天間基地の危険性除去」の立場から「シュワブ沿岸案」移設を主張していた。彼自身は選挙対策のために「県外移設」に鞍替えしたのであろうが、県民の「県内移設反対、普天間基地は県外へ」の粘り強い怒りと県民大会共同代表の翁長那覇市長からの政策変更を受け入れたが路線転向を促したと言えよう。伊波、仲井眞両候補が獲得した63万票は県民大会参加者9万人余の7倍の民意以上であることを日米両政府に認識させなければならない。その63万票が仲井眞県政へ「妥協を許さぬ」との強いメッセージを発信しているともいえよう。
同日投票の宜野湾市長選で伊波洋一候補の後継者、安里猛新市長が勝利したことを評価すべきである。安里市長や稲嶺名護市長が2人三脚で仲井真県政と菅政権にプレッシャーを与える闘いが引き継がれたのである。早速その効果が現れた。仲井眞知事は選挙後の安里、稲嶺両市長との会見で、選挙戦での対立から「同床異夢」だと連携を拒否した。県民やマスコミは仲井眞陣営の「県民の心をひとつに」との選挙スローガンを引き合いに出し、普天間基地の「県内移設反対、県外移設」は県民の総意であり、知事としての器量の狭さを皮肉った。「同床」は「県外移設」であり、「異夢」が国内、グアム、米国本土、あるいは太平洋の藻屑になるのかの選択は日本政府の判断である。県民は仲井眞知事が菅政権に対して、「県外移設先について沖縄県民は関知せず」との“大見えを切る”度量を求めている。仲井眞知事が「県民の心をひとつに」を実践するのであれば、先ず辺野古「命を守る会」のオジーたちや名護市民に14年の労苦に対するねぎらいの言葉もあって良い筈だ。
仲井眞の勝利にほくそ笑んでいる(空き)菅首相は、仲井眞知事の要請を受けて「沖縄振興一括交付金」制度の導入検討を指示し、「基地と振興策のリンク」政策に手を染めた。自公政権と同様の「アメとムチ」の政策である。また、北沢防衛相は「尖閣諸島」問題を契機に新防衛大綱をもって、宮古下地島・与那国島、石垣島などに自衛隊の配備を狙い、防波堤へと沖縄を再利用しようと策略している。菅政権が「日米安保の深化」と「海兵隊の抑止力の維持」を主張するならば、沖縄は「朝鮮半島に近い新潟や福井県などの原発銀座を死守するため米軍海兵隊を移転すればよい」と皮肉を放ちながら、米政府内部で財政難から在韓米軍1万5千人を含め5万人の対外駐留米軍の撤退が検討されている事実を突きつけ、窮乏する国民生活の改善のため思いやり予算の削除と在日米軍の撤退を求めて行けばよい。

 今後、防衛省による環境アセス法に基づく評価書の県への提出が想定される。仲井眞知事に対して知事意見書を「県内移設反対」の政策から防衛省へ提出させない闘いをつくること。MV-22オスプレイ配備問題でのアセス手続きのやり直しを求めるなど辺野古違法アセス訴訟の勝利へと導き、政府の辺野古沿岸への埋め立て申請を阻止する闘いへと繋げて行く。さらに、辺野古「命を守る会」のみならず稲嶺名護市長、安里宜野湾市長らを支える闘いも必要である。

2010年12月12日




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